緑区カナコの中国日記

緑区婦人会のMCカナコです。 中国の田舎町でひっそり生活しているゲイ(オネエ)です。

女装子とオネエとLGBTについて

ジュビレーヌ・イデアラ Juvileine Ideharaさんが、川本町で「おネエ」演奏会を町おこしで実施する予定が、性同一性障害の支援者団体から不快と意見があって、中止。というニュースが流れてきました。
性的少数者の演奏会中止 「おネエ系」表現めぐり - 産経ニュース

ジュビちゃん(ちゃん付けしてますが、たぶん年齢的には大先輩な雰囲気)のブログも読んでみて、私の認識は下記のとおり。

 ・ジュビちゃんはおネエ系音楽家、自称LGBTTwitterプロフィールより)
 ・川本町が好き、川本町の町おこしのためのおネエ演奏会
 ・演奏会は本格的な演奏+おネエコントあり
 ・ポスターは町の要請(インパクト欲しい)で、ジュビちゃん自身が作成、「おネエ」と記載
 ・ポスターは町の確認の上、配布開始
 ・性同一性障害支援団体から「おネエ」は「LGBTを誤解させる」ので「不快」
 ・10日前にポスター作成しなおし(白黒、顔写真なし、オネエという文言なし)を依頼
 ・時間が無い、ポスター作り直してもネタが「オネエコント」で大丈夫か不安
 ・中止

となりました。
Juviちゃん on Twitter: "ジュビちゃんweb更新しました。
川本町公演中止について、私からのメッセージを掲載しています。
https://t.co/POZPOKnSfk"


「オネエ」なのか「おネエ」なのかも議論の余地がありそうですが、
(アタシは今回の件を受けて、おネエという表現の奥ゆかしさに大変共感している)

今回気になるのは、下記3点。
 ・LGBTという言葉の定義
 ・女装子の分類とLGBTとオネエ
 ・オネエを仕事にすることの是非

 について、アタシの見解を書いてみたいと思います。

LGBTという言葉の定義、便利さ

最近のニュースでは、セクシュアルマイノリティ全体を「LGBT」と表現しているのを見かけます。
セクシュアルマイノリティという言葉が長く、略すとSMとなって違う意味になっちゃうし、
LGBTってブームだし便利に使う気持ちはよくわかるし、
LGBTが、セクシュアルマイノリティとまとまって活動することはとても良いし、
ぜひそうしたいけど、ひとくくりにしちゃいけないでしょって思う時もあります。

L:レズビアン 女性同性愛者
G:ゲイ(本来は全ての同性愛者も含んでいましたが、狭い意味で)男性同性愛者
B:バイセクシャル
T:トランスジェンダー性的指向ではなく性別違和、性同一性障害
そして、セクシュアルマイノリティというのは、性的少数者を言うので、
アセクシャルなど、LGBTに入らない方も、様々いらっしゃいます。(この日記ではあえて触れていません)

LGBは、同性を好きか、異性を好きかというところで、マジョリティと区別しているんですが
Tは、同性異性のどちらが好きというところではなく、身体の性と、心の性が一致していないことを言っています。
身体の性を心の性に治療(ホルモン投与、性適合手術等)される方もいらっしゃいます。
性別違和はあるけど、治療されない方もいらっしゃいます。

LGBTはそれぞれ、法的な要求、社会的な要求が異なります。
(LとGは同じだったりします)

例えば、同性パートナーシップについて、同性愛者であるLGは必要としていますが、
Bの人は、パートナーが異性であれば不要ですし、
Tの人で、性別が変更となれば、法的な性別が変更でき、男女での婚姻が可能です。
(Tの方でLGBの方もいらっしゃいますが、ややこやしいので触れません。ごめんなさい)

女装子LGBTとオネエ

アタシは女装をしているので、女になりたい男なのかと聞かれることがありますが、
職業女装(職業オネエ)であって、女装している時以外は、おじさんですw
性的指向は男性、自分が女装をしている状態で、男性と愛を育みたいとは思わないし、
日常生活でも、心も体も男性なので、分類は、Gゲイになります。

女装(異性装)は、性別と異なる服装をすることを言います。

女装子を大きく3つに分けて考えたいと思います。

1、TJS(トランスジェンダー女装子
 トランスジェンダーの方が女装している場合。
 自分の心の性別(女性)にあわせた格好をしているが、体の性別は男性ということです。
  心の性:女性
  体の性:男性
  服の性:女性
 異性装(女装、男装)は、性別が不一致な服装を着ることですが、
 服の性と体の性は不一致ですが、
 服の性と心の性が一致している観点からは、女装という言葉がそもそも適切ではありません。


2、GJS(ゲイ女装子
 女装を趣味もしくは職業でしている人。普段は女装していなくて、仕事の時だけ女装する。
 多くのドラァグクイーンはここに入っていると思います。
  心の性:男性
  体の性:男性
  服の性:男性(限定的に女性)
  性指向:男性


3、NJS(ノンケ女装子
 女装をしたとき限定で、女子になる人。
 服の性が女性になったときだけ、スイッチが入って心の性自認が女性になりますが、普段は男性。
 性指向は限定的に男性になる人もいれば、そのまま女性が好きという人もいます。
  心の性:男性(限定的に女性)
  体の性:男性
  服の性:男性(限定的に女性)
  性指向:女性(限定的に男性だったりそのまま女性だったり)


ではここで問題です。
緑区で公衆トイレに女装で侵入して、女性を盗撮した。というニュースが流れたとします。

公衆トイレに女装で入ることについて、
1TJSの方は、そもそも心の性別は女性ですので、男性トイレに入ることに違和感を覚える人もいます。
 ただし女性トイレに入ることで周りの目が気になる人も多く、多目的トイレや、LGBTトイレが必要とされます。

2のGJSの人は、男性トイレに入るほうが好きだと思います。
 トイレを多目的に使う方もいますが、LGBTトイレの本来の目的ではありません。

3のNJSの人は、女装している自分が好きなので、女装で女子トイレに入ることに興奮を覚えてしまう人が多い印象です。
 なおかつ、もともと女性が好きだったりして盗撮に及ぶ人もいます。

ということで、3NJSを悪者にするつもりはないのですが、この手のニュースの犯人は、割とノンケが多いと思っています。
で、迷惑をこうむるのが、1TJSの皆さんなんですよね。

TJSの皆さんは、外見は、男性のままですので、一般女性から見ると、男性の女装子が女子トイレに入ってきていると認識されてしまいます。
そのため、LGBTトイレは必要なのです。
え?そうですね。LGBTトイレと書きましたが、必要なのはTの方なのです。LGBは特別なトイレは不要なのです。



じゃぁ次に、オネエって何よ?ってところですが、
上記の分類とは異なるんですよね。

性別が男性で、しゃべり方が女性っぽい方をオネエって言っています。


(最近のネットでは、ゲイ全部をオネエって言ってる方もいますが、
 もともとのゲイ業界での意味は、「女性らしくしゃべる男性」かと思います。)


1、TJS(トランスジェンダー女装子
  心の性:女性
  体の性:男性
  服の性:女性
 言葉の性:女性

 「体:男性」で「言葉:女性」という意味ではオネエと扱われてしまいますが、
 「心:女性」で「言葉:女性」と考えれば、オネエと扱うのは不適切と言えます。


2、GJS(ゲイ女装子
  心の性:男性
  体の性:男性
  服の性:男性(限定的に女性)
  性指向:男性
 言葉の性:男性(限定的に女性)

 言葉の性が、心の性、体の性と異なるため、オネエです。 

 ちなみに女装しないゲイは、
  心の性:男性
  体の性:男性
  服の性:男性
  性指向:男性
 言葉の性:男性(限定的に女性)

 言葉の性が、心の性、体の性と異なる時だけ、オネエです。 
 
3、NJS(ノンケ女装子
  心の性:男性(限定的に女性)
  体の性:男性
  服の性:男性(限定的に女性)
  性指向:女性(限定的に男性だったりそのまま女性だったり)
 言葉の性:男性(限定的に女性)

 こちらもオネエ扱いで良いと思う。


オネエって、ノンケ男性でも、女性っぽくしゃべればオネエなんですよね。。。

ゲイはオネエだと思われている人も多いけど、ゲイ=オネエじゃありません!(アタシが言うとややこしい)
ゲイ業界では、オネエより雄っぽい人のほうが人気だし、オネエは好まれません。

まとめ
服の性が異なることを、女装
言葉の性が異なることを、オネエというんです。
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オネエを仕事にすることの是非

日本のテレビ番組を見ていると、オネエが沢山出ています。
今回の、ジュビちゃんみたいに、職業としておネエアピールしてる人も居ます。

アタシは、心の性や、身体の性、服装の性、言葉の性、色々あって良いと思うし、
オネエ独特の楽しい感じって、好きです。

ただ、上に書いたように、
トランスジェンダーの方は、心の性別とは、服装の性も、言葉の性も一致しているため、
女装子、オネエと一緒にすることに、抵抗があるということも理解できます。

オネエとして活躍する方や、オネエを職業にされる方が増えることで、
性的少数者の可視化や、多様性を認め合う社会づくりのきっかけになると思うので、
オネエの活躍は大賛成なのですが、

アタシもですが、オネエ自身、
心の性別(性自認)、身体の性、服装の性別、性的指向、言葉の性別 という観点から、
もしかすると、この表現は、他のマイノリティの人に誤解をあたえるかもしれないと認識する必要があるのかもしれません。


今回の川本町の件も、
「オネエ」というコミカルさの訴求は、出演者の演出の一部であり、
けっしてトランスジェンダーの方への偏見を意図したものではない。と一言、言い切ってしまえば、なんら問題無かったのではと思います。


マイノリティの中でも、それぞれ社会的要求は異なりますが、
これからも、必要に応じて連携、協力していけたら良いなぁと思っています。


(で、中国日記ってタイトルなので、無理やり中国ネタ)
中華圏では、デパート等で、「女装」「男装」と見かけますが、
これは、「レディースファッション」「メンズファッション」を指します。笑
LGBTとはまったく関係ありません。

中国においては、同性愛は病気扱いでしたが、現在は病気ではありませんし、違法ではありません。(同性婚はできませんが)
家族を大切にすることや、ながく続いた一人っ子政策の影響もあり、結婚しているゲイが多いなぁと思います。

ちなみに、オネエは、娘娘(ニャンニャン)って言われてますし、
お姐さんという「大姐(だーじえ)」という言葉も呼びかけには使うことがあります。笑

日本ほどオネエは多くない印象です。

半沢直樹が流行ったこともあり、オネエは中国でも徐々に受け入れてくるのでは?と期待しています。

ということで、皆様の中国へのお越しをお待ちしております。